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倉俣史朗のファンは必見!
わしが言うまでもないねんけど、一応説明しとこ。
倉俣史朗の最高傑作と称されるのが、ミス・ブランチや。
今日は、倉俣史朗の大ファンであるわしが、ミス・ブランチについて語ってみることにするわ。
ミス・ブランチ 倉俣史朗の最高傑作と称される椅子 驚愕の価格とは
ミス・ブランチ(1988年)
引用:https://www.phillips.com/detail/shiro-kuramata/HK010117/33?fromSearch=kuramata&searchPage=1
ミス・ブランチは、倉俣史朗の中でも最も有名な作品や。
製作台数は、わずか56脚。
倉俣史朗の享年56歳にあわせて製造が打ち切られたっちゅう逸話がある。
発売当時の価格は200万円。
ただし、今はもう200万では到底買えん。
ミス・ブランチは、世界中のコレクター、美術館が、喉から手が出るくらいに欲しい椅子。
今となっては3000万~5000万円で、アートオークションで取引されるのが一般的な、伝説の椅子になってしもたんや。
ミス・ブランチは、ひと目その姿を見たらおしまいや。
言葉に言い表されへんほどの、強烈な印象。
美・薔薇・妖艶・恐怖・畏怖・死・・・・・。
あまりにもショッキングなビジュアルが、一生涯、頭の中から離れへん。
椅子の概念を完全に超越した椅子。
それが、ミス・ブランチや。
今もなお、世界中探しても「ミス・ブランチ」を超える衝撃を与える椅子は存在せえへん。
ミス・ブランチは、2種類存在する。 世界に1脚しかない、幻のプロトタイプ。
実はミス・ブランチには、幻のプロトタイプがあるねん。
製品版との違いは、肘掛けの形状。
上の写真、右側がプロトタイプのミス・ブランチや。
プロトタイプのミス・ブランチは、肘当てが波打ったデザインになっとるやろ?
その後、修正されたデザインが、左側のミス・ブランチ。
つまり、市場に出回っとる製品版のミス・ブランチやね。
1脚しかない幻のプロトタイプは、今でもコクヨが所蔵しとるっちゅーはなし。
売りに出されることはまず無いやろけど、軽く億は超える価格やろなぁ。
ミス・ブランチ 名前の由来は映画。 「欲望という名の電車」
ミス・ブランチの名前の由来は、テネシー・ウィリアムズの戯曲「欲望という名の電車」の主人公「ブランチ・デュボア」
原作は戯曲やけど、映画好きやった倉俣史朗は、ヴィヴィアン・リー主演の映画を見て「ミス・ブランチ」を発想したらしい。
倉俣史朗は、映画の中でブランチ・デュボアが着とった赤いバラのドレスが印象的やったっちゅうねんけど・・・。
「欲望という名の電車」って、白黒映画やねん。
倉俣史朗の想像力が生んだ幻か、この発言自体に何らかの意図があったのか・・・。
今となっては謎。
こういう謎めいた発想も、倉俣史朗の魅力の一つやね。
ミス・ブランチの薔薇が造花の理由。
実は、当初ミス・ブランチは生花の薔薇をガラスに封じ込める事を目指しとった。
当然、高温のガラスに生の薔薇を封じ込めることは困難を極めた。
ちゅーか、実際に不可能やった。
そんな中、アクリルに造花を封じ込めるっちゅう案が浮上する。
ただし、アクリルといえども、生の薔薇を封じ込めることは無理やってん。
その時、倉俣史朗は突然の決断を下したんや。
あれだけ生の薔薇にこだわっとった倉俣史朗が突然、造花でエエって言い出した。
その理由がまた、衝撃的やねん。
「ブランチ・デュボアは偽物やから、薔薇も偽物でエエ。」
ブランチ・デュボアの見栄と嘘にまみれた生活=「偽物」=「造花」
このデザインセンスと決断力は、いつ思い返しても鳥肌が立つ。
ある意味、この最後のジャッジがあったからこそ、ミス・ブランチが生まれたと言うて過言や無い。
そこからも、数々の造花の薔薇をアクリルに封じ込めて試行錯誤が続けられてん。
染料がアクリルに溶け出したり、形状がうまく保持出来んかったり・・・。
造花といえども、なかなかうまく行かんかったんや。
結果的に決まった薔薇が、一番安い造花の薔薇。
いかにも造花っちゅう雰囲気の薔薇が、結果的にミス・ブランチの荘厳さに繋がった。
ミス・ブランチは、天才と偶然が生んだ「奇跡の産物」っちゅーわけや。
ミス・ブランチの製造を担当した、知られざる職人。 「斎藤正春」
ミス・ブランチの製造は、コクヨ、イシマルあたりを挙げられることが一般的や。
ちゃうねん。
ミス・ブランチが製造できたのは、知られざる職人の技術力があったからこそ実現できたんや。
その、職人の名は「斎藤正春」
ミス・ブランチの製造を担当したのは、現在は廃業された株式会社正高化工。
神の手を持つ職人、斎藤正春さんによって生み出されることとなったんや。
倉俣史朗デザインのフラワーベース等、数々のアクリル製品を手掛けた素晴らしい職人や。
斎藤正春さんは、倉俣史朗のイメージを具現化するための、素材を仕込み方、アクリルの配合、全てが神がかった天才やった。
ただ、この事実はあまり表では知られてない。
プロトタイプ製作:コクヨ
商品化:イシマル
一般的には、ミス・ブランチの製造に関して、この程度の情報しか出てこん。
斎藤春夫さんは、歴史の裏舞台に生きた職人の中の職人や。
・・・ごっつカッコエエやろ?
ミス・ブランチのファンは、この事実を忘れんようにしてほしい。
ミス・ブランチの美しさの正体とは。
まず、ミス・ブランチの薔薇は、なんでこんなにも美しいのか。
ミス・ブランチの美しさについては、ありとあらゆる人々の間で語られとるけど、こんかいはわしの視点でその美しさの秘密を紐解いていこうと思う。
普通に考えたらありえへんねん。
ミス・ブランチに使われとる造花の薔薇の造形は、ぶっちゃけごっつ安っぽい。
せやのに、とてつもなく儚げで、非現実的。
誰もがアクリルに封印された造花から、圧倒的な美を感じてまう。
この非現実的な美しさは、単にアクリルに薔薇の造花を封印したら出るもんやない。
単にアクリルに封じ込めるだけでは、ただの凍った薔薇になってまう。
・・・そうや。
封じ込められとるんとちゃうねん。
ミス・ブランチの薔薇は、「浮いとる」んや。
わしらは、ミス・ブランチに何を見とるのか?
わしらが見とるのは、椅子でもないし、薔薇でも無い。
ミス・ブランチを通してわしらが無意識に感じ取るもの。
それは・・・。
「重力の存在」
つまり、倉俣史朗が死ぬまで追い続けたテーマそのものや。
この「浮遊感」は倉俣史朗が生涯こだわり、追い続けたテーマやった。
それが、ひときわ強烈に再現できた傑作が、ミス・ブランチっちゅうわけ。
このミス・ブランチを見れば、倉俣史朗が「浮遊感」をどういう風に解釈しとったんか、ごっつわかる。
浮いとるように見えるやったらアカンねん。
浮かさなあかん。
ミス・ブランチの薔薇は、わしらのような普通の人間が囚われとる、重力から開放されとるんや。
この浮遊する薔薇を実現させることが出来た、唯一の職人。
それが、先に紹介した斎藤正春さんやったっちゅう訳。
地球に生きる上で切り離されへん「重力」を消したら、感覚を越えた「美」が生まれる。
そんな感覚に、意味なんかあらへん。
重力からの開放は、ロジックを越えた絶対的な美が存在するっちゅう事に気がついとったんやろなぁ・・・。
せやから、あんなにも一心に、生涯をかけてこだわり続けた。
わしはそう考えとる。
重力に縛られた地球上で唯一、重力から開放されて生きとった人間・・・。
それが、倉俣史朗や。
ミス・ブランチに漂う、「死」の香りの正体とは。
ミス・ブランチには、もう一つ奇妙な感覚を引き起こす何かがある。
その奇妙な感覚っちゅうのが・・・。
どことなく感じる「死」の香り。
この、ミス・ブランチに漂う得体のしれん「死」の香りについては、賛否両論あるかもしれんけど、わしは間違いなく感じるんや。
なんで、こんなにも儚く美しい椅子から、対極のイメージであり得る「死」を感じるのか。
その答えは、3つあると考えとる。
1つ目は、ロジックを越えた美しさの根源となる重力から開放された薔薇の存在。
2つ目は、浮遊する薔薇に感じる「永久」
3つ目は、倉俣史朗自身が生きてきた世界・出会ってきた人々・存在っちゅう全ての価値観が凝縮され具現化された椅子である事。
まず1つ目。
ロジックを越えた、美しさの根源となる重力から開放された薔薇の存在。
「重力から開放された薔薇」は、ミス・ブランチの美しさの根源的要素であると共に、あるイメージが伴う事となる。
そのイメージっちゅうのが、「死」のイメージとぴったり重なるんや。
「この世のものやない」
地球上で生きとる限り、わしらは重力に逆らえん。
重力に逆らう存在っちゅうのは、生きたものではないって認識してしまうねん。
つまり、「浮遊感」は、人間が無意識的に「生」を絶ったモノとして認識する。
幽霊とかゴーストとか言われるオカルティックな存在は、浮いとるやろ。
わしら人間は、それと同じような認識を無意識に抱いてしまうんや。
続いて、2つ目。
浮遊する薔薇に感じる「永久」
これは、ミス・ブランチに使われとる薔薇が、特に安っぽい造花であることが重要なポイントや。
この造花のあからさまな作りもの感と、分厚く透明なアクリルブロックが、強烈な「朽ちる事がない永久感」を発しとるねん。
倉俣史朗が、造花でエエって断言したのは、この演出効果まで考えたものかどうかは、今となってはわからへん。
ただ、当初の生の薔薇を使う案では、ミス・ブランチに感じる「永久」は間違いなく出せんかったはず。
偽物であるからこそ生まれた「永久」
これが、ミス・ブランチが無言で放つ、強烈なメッセージの一つや。
まあ、ミス・ブランチも構成要素の大半が有機物である限り、この「永久」もまた、偽物なわけやけど・・・。
そんで、最後の3つ目。
倉俣史朗自身が生きてきた世界、出会ってきた人々、存在、全ての価値観が凝縮され具現化された椅子。
これについては、ちょっと抽象的な解釈になってしまうんやけど、倉俣史朗の生きてきた世界そのものが凝縮されて、得体のしれん「死」のイメージとつながっとると考えられるねん。
ミス・ブランチに限らず、倉俣史朗のデザインしてきた物達は、ただの職人では不可能な高度な技術力を必要とするものが多かった。
しかも、その「高度な技術力」っちゅうのが、機械的な精度とは違う点にある。
つまり「限られた人がもつ最高の技術力」っちゅう事。
ミス・ブランチは、まさに「人の力」があったからこそ実現できたデザインや。
倉俣史朗は、「人の力」を信じてデザインし、そのデザインを持って「人へ感謝の念」を伝えた。
あえて薔薇を選んだ理由は、「欲望という名の電車」のブランチ・デュボアだけやったとは思えんのよ。
わしには、倉俣史朗が出会ってきたすべての人々へ捧ぐ為の薔薇に見えて仕方がないねん。
しかも、薔薇っちゅうチョイスが絶妙や。
薔薇っちゅうのは、一般的に死者への献花としては用いられへん花や。
生きたものへの贈り物に選ばれる花。
そのズレから、倉俣史朗自身がミス・ブランチに宿る「死」のイメージを包み隠そうとしとるように感じるねん。
素直に受け取ると、共に生きた職人たちへの贈り物って見方もできるよね。
ミス・ブランチの中には、デザイナーの倉俣史朗だけやなく、ミス・ブランチを生み出す事に身を捧げた、様々な人間が眠っとる。
その「得体のしれん力」が、椅子っちゅう姿を通して生々しいほどに感じられるんや。
一般的なプロダクトデザインと違って、ミス・ブランチは間違いなく魂が宿っとる椅子や。
あるいは、「椅子の形をした人形」なんかもしれん。
ミス・ブランチのレプリカ的存在。 「薔薇の封印」
ミス・ブランチはその絶大な人気から、素材のレプリカのような物が作られとる。
薔薇をアクリルに封じ込めたオブジェ「薔薇の封印」や。
これがまた、ものごっつキレイやねん。
薔薇の封印は数種類のタイプがあって、製造された時期によって薔薇の形状、オブジェの形状が微妙に違う。
噂によると、ミス・ブランチ製造中に生まれた激レアな試作品も存在するらしい。
倉俣史朗コレクターは、死ぬまでに全種類集めたいところやね。
ちなみに、写真の薔薇の封印は倉俣史朗の死後に作られたタイプやで。
ミス・ブランチ まとめ
ちゅうわけで、倉俣史朗を心から尊敬するわしが、ミス・ブランチについて綴ってみたわけや。
わしの夢の1つは、生きとるうちにミス・ブランチを手に入れること。
望めば叶う。
もし叶ったあかつきには、浪速でミス・ブランチを無料公開したるわ。
ちゅうわけで、ぼちぼち応援してなぁ〜😋🍺❤️
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